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スポーツ

トランスパック貴帆さまリポート 24.& Ten Quater

我々TEN QUARTERの挑戦は
マイナスからの苦しいスタートだった。

立ちはだかる「諦め」の2文字を倒すまで。
クルーは皆、言葉に出来ない何かを感じていた。

国内の練習とシッピングを終え、
ロングビーチに到着した我々は
素早くキャンプ体制を整え、
クルーは早朝から炎天下での作業、
川田和歌子マネージャーを中心に深夜に及ぶ
終わりの見えないデスクワークが続いていた。

そんな中、怪我で戦線離脱するも
ショアクルーで頑張る須田勇の姿と
日本艇の惜しみないサポートは心強かった。

帰国間際、睡魔の中で川田マネージャーが作り上げた
TEN QUARTERのfacebookページには
日本からも沢山の応援メッセージが届き、
クルーを元気付けてくれた。

7月8日、レーススタート当日の早朝、
Ten QuarterとKIHOが隣合わせるスリップへ
BEECOMとベンガルが激励に駆けつけてくださり、
皆の暖かい声援の中、
カタリナ島をトップ回航でスタートし、
我々は太平洋の大海原へと旅立った。

スタート後の3日間は誰も食事が喉を通らなかった。

徐々に体調が回復し始めた頃、
追い上げて来るkihoの航海灯に気がついた時には
右舷前方に、それから3日後位だろうか、
KIHOは左舷前方にいた。

本吉夏樹が太平洋のど真ん中で
マッチレーサーと化す瞬間だった。

同時に毎夜吹き出す強風との戦いの始まりだった。

チャートワークで船酔いに苦しみながらも
元気に舵を切り続けていた
清水 歩が発熱で戦線離脱。

たった1日の休息で復帰したが、
体調不良から来る苛立ちを辛うじて抑えながらの夜。

瞬間的に10ノットから40ノットまで吹き上がった
ダウンブローで最後の軽風用スピンを失い、
明るくなってから
バングを支えるボルトがL字に曲がり、
ブームのグースネックのボルトも
曲がっていることに気がついた。

セイルヨット我妻幸一はすぐに仮設バングを、
ブームエンドに結びつけたスピンハリとプリベンダーで
メインのコントロールを余儀無くされることとなった。

パイプバースからは、ミスでペナルティの夢に
うなされるクルーの寝言。
そして夜はハーネス着用のまま
セールバッグに横たわるクルーの足を踏んでしまうことも。

「お願いだから起こすな!休ませろ!」
の声が届くことはなく、
昼夜問わず繰り返すオールハンズのコールに
素早く反応する、日本艇最年少の磯谷航介ですら
疲労を色濃くする中、
トランスパック3回目の挑戦となる
セイルヨット我妻を本吉は「大将」、
清水は「パパ」と呼び、慕うようになっていった。

ベテランの黄川田喜蔵、八木廣治は
若手クルーのバックグラウンドの如く、
安定したセーリングを見せていた。

残航700マイル。

チーム内には相変わらず暗雲が立ち込めていた。

そんな中、我妻、稲葉の提案でミーティングが行われた。
終了と思いきや、
テルテールを我妻・八木が頭に、清水・磯谷が胸に

「風は頭で感じろ!」
「風は体で感じろ!」

のパフォーマンスが始まった。
写真やビデオを撮り、レースを忘れて皆で笑いに笑った。

「僕らはいつも何かに押されている!
このヨットに初めて乗った時から感じていた!
今も1位だ!」
全クルーが稲葉健太の言葉に聞き入っていた。

何も恐れない全速力Do My Best ! の再始動であった。

太平洋に毎夜吹き荒れる風の中でふと思った。
皆と過ごせるのもあと少し、
震災からあっという間だった。

洋上にいるはずなのに
何処にいるのか分からなくなっていた。
その嵐を最後に夜空に星が満ち、
見上げる度に流れ星が。

「トリマーはセールを見てください」
という言葉で我に返った。

ヨットを戦車のような機動力で前へ押し進め、
針の穴に糸を通すような
本吉夏樹の集中力は途切れていなかった。

マウナケアの裾が雲の切れ間から現れた日の夜、
再びKIHOの航海灯が見えた。

水平線まで満月が溶け出したモロカイチャンネルの
マッチレースはホノルルの夜景が消えるまで続いた。

本吉夏樹は大将(我妻)へ言った。
「一緒に戦えたこと、僕の誇りです。」
二人の目に涙が止めどなく溢れていた。

JALマイレージクラブ会員の方々の寄付マイルで
トランスパックのゴールの地ハワイへ招かれた
長女と私は再会した。

妻と次女(3才)を失った
悲しみの波が変わらずうねる中に
「区切りをつけなさい。」
語り掛けるもう一人の自分がぼんやり現れていた。

「僕らは結果がどうであれ同じ気持ちだった」

と笑みを残し、ハワイを後にした
稲葉健太がやけに印象的だった。


TEN QUARTER 高橋祐一


Photo by Sharon Green/Ultimate Sailing



2013年8月24日(土)10:39 | トラックバック(0) | コメント(0) | スポーツ | 管理

トランスパック貴帆さまリポート 23.& Ten Quater

今日は、サポートいただいました皆様、
本当に、本当にありがとうございました♪

そして、報道各社の皆様、そして今回の取材に関するコーディネイトおよびサポートにご尽力賜りましたジブトリマーズの田中様、本当にありがとうございました。

チーム一同、心より感謝申し上げます♪ 



8月23日の朝日新聞朝刊(全国)に記事が掲載されております。


航行情報
8月23日8:10現在
尻屋崎まで174nm、燃料残115L。
ほぼ無風の中1,300回転5ktsで機走中。
キビシイ~!!。
尻屋崎地点で燃料残70Lを目指してますが、このままず~っと無風が続け
ば・・・。
青森までは確実にたどり着けますが、青森にて20L補給の可能性有かもです。

昨日はクジラに三回遭遇、その内二回は最接近5M以内・・・。
エンジン全開&フォグフォーン待機で逃げました。

今澤



14時、尻屋崎アプローチの予報
あれっ結構吹くな〜
kita



2013年8月23日(金)13:57 | トラックバック(0) | コメント(0) | スポーツ | 管理

トランスパック貴帆さまリポート 22.& Ten Quater

KAZI誌の10月号(9月5日発売)にten quarterの記事が載りますので、是非皆さんご覧ください。
(シェアさせていただきます)

Please check " KAZI" magazine of Oct. issue! We will be on it!
【トランスパック】

トランスパック史上最強の快挙!
日本艇〈テンクオーター〉優勝おめでとうございます!!

ディビジョン7で見事優勝した〈テンクオーター〉の高橋オーナーから、みっちりお話を伺ってきました。
日本初のトランスパック優勝です。

〈テンクオーター〉とわずか11分24秒という僅差のデットヒートを繰り広げた、〈貴帆〉の北田オーナーからも貴重なお話をいただきました。

トランスパックの公式ホームページで「2,225マイルのマッチレース」と報道された、この二艇。

Kazi 10月号(9/5発売)をお楽しみに

photo by Team Ten Quarter



位置情報 2013/08/21

おはようございます(^○^)
21日(水)7:00現在の状況報告です。

昨日夕方からからの南風15〜20ktsのおかげで帆走にて7〜8ktsで走行中でございます。

残航:尻屋崎北4nm地点まで472nm
軽油残:150L

尻屋崎への到着予想時間
平均5.5ktsで3日13時間49分 = 24日20時49分
平均6ktsで3日6時間36分 = 24日13時36分
平均6.5ktsで3日0時間36分 = 24日07時36分
平均7ktsで2日19時間25分 = 24日02時25分

よほど無風が続かない限り機帆走で平均6kts以上は可能なので尻屋崎到着は24
日の10時〜14時が有力かと。
大間北4nmまでは30mnなので6ktsで5時間、24日の15時〜19時。(暗い
かどうかのは微妙ですね)
大間〜青森が約49nm、青森到着は24日の23時〜25日の03時。(確実に暗い
でしょう)

尻屋崎到着の時点で軽油残50L以上を考えているので、津軽海峡の逆潮を考えに入れないと機走で7kts以上での走行が可能なのでもう少し早まる可能性は有ります。

したがって、青森着は土曜日深夜から日曜日早朝が最有力ですね。)
月曜日の朝に出来ればなるべく早くに入管手続きを済ませ、
大湊に向かいたいところであります(^^ゞ。

これから雨だそうです(*_*)。

今澤



このキャンペンに参加してくれた仲間たち

またそれを支えてくれたすべての方々に感謝いたします

何よりも素晴らしい仲間に出会えたこと

そしてその仲間たちと一緒にレースをできたことが

僕の一番の誇りです




落ちはいらないと思うのですが

今の僕のバトナは2つ


1、感動を味わいながら寝ないで明日を迎える

2、ワッチオフなんでとっとと寝る



僕が選んだのはもちろん2です


by Aga - 詩人 of ten quarter



到着したten quarterのニュースが東北のNHKでも放送されました♪こちらでもご覧いただけます♪

http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20130822/3929461.html



自分を取り戻す旅は終わりに近づいてます

新しい物語を始める準備が整いました

by 詩人 of ten quarter



2013年8月21日(水)11:57 | トラックバック(0) | コメント(0) | スポーツ | 管理

トランスパック貴帆さまリポート 21.& Ten Quater

パックンは、夜行性のクマですから、当然、ナイトワッチも出来ます。
今日はジブシートトリマーをしたいというのでやらせてみました。
おいおい、セルフテーリングのシートの先を引っ張ってどうするんだよ。
Takeda



Ten Quater のFBから

こうやって風に吹かれていると

今まで身に着けていた

怒りや、憎しみや、悲しみや、苦しみが

一枚ずつ、はがれていくのを感じる

空の青さが青いように

海のきらめきが眩しいように

すべてがそのまま...

みえるものはただ

海と空と風だけだ

by 詩人 of ten quarter



2,3日前からもう物語の本はなくなって

実用書を読み始めている。

バトナ BATNA

Best Alternative to a Negotiated Agreement

の頭文字をとったものである

すべてにおいて複数の選択肢をもつということで

武器としての交渉術なる本に出てくる言葉だ

考えてみると我々ヨット乗りは

常にこのような考えで生きている

今でもこのまま走るべきか

次の風の変化に対応してもっと上るべきか

はたまたタックして別のルートを進むべきか

など複数の選択から

一番良いと思われるコースを選択している。

またトラブルに関しても次の手、

もしくは次の次の一手を常に考えている。

我々は常に自然界との交渉の上で船を走らせているわけだ。


なるほど、

で、次はどのおねーちゃんに声をかけようか,

などというBATNAは

海の上では一切考えていない

By usotsuki aga (詩人)of ten quarter



船魂神社にご報告


位置情報 2013/08/19

八戸入港を予定していましたが、入国手続き等の諸事情で
青森港を目指すことになりました。
手続き終了後、大湊に向かいます。
青森港まで850マイルくらいあるかな?

回航レポート 2013/08/18

みなさ〜ん
おひさしぶりでございますぅ(^_^)/
二日間の無風、行きたい方角からの風、向かい潮、時より雨交じりの曇天!!!。
何だかこの三日間はテンション下げ下げ(*_*)。
そして北緯38°を越えてますからね〜、仙台より北に居るわけで〜つまり寒い!!。
もう夏が終わったんだ〜感がいっぱいでございます。
後一週間で私達の四か月に及ぶツアーが終わると思うと寂しい気持ちでいっぱいになります。
思い切って90°南に向けて沖縄に向かいたい衝動にかられます・・・(^_^
今日は薄曇りですが結構ドライな天気、風向も北北東で何とか青森方面へのヘディングはキープ。
艇速も機帆走で何とか6kts出てるのでホッとしておりますですす。
ウクレレを聞きながらのパスタランチ、残念ですがジョーク○袋氏(望)の演奏はまだキビシイのでCDですが・・・!?.

これからは行く手を阻む物は無さそうなので目的地へまっしぐらでございます。
目的地・・・、実は微妙に未定ですが・・・!?。

前にもイカが飛んだ話題が有りましたが、メインセールにもイカが二匹張り付いてました。
高い波やスプレーは無かったのにそこまで来るのってやっぱりイカは飛ぶって事を確信しました。
飛び魚より高く飛んでますよ!!。

みなさん後約一週間、TPツアーしめくくりの旅をよろしくお願いいたします<(__)>。

ima

回航レポート 2013/08/19

おはようございます。
現在(日本時間午前八時半)、尻屋崎まで残航765マイルの距離。
機帆走で6ノット弱の速度で航行中。

Takeda

本日、TPクルー新松政雄のお父様がご逝去されました。レース直前にご危篤となりましたが、病床のお父様に間に合わないかもしれないからと声を掛けて、レースに参加してくれました。この責任感の強さに敬意を表すとともに、ご冥福をお祈り致します。



2013年8月17日(土)09:50 | トラックバック(0) | コメント(0) | スポーツ | 管理

トランスパック貴帆さまリポート 20.

バルクヘッドマガジン、平井さんの写真です。

http://hiraijunichi.photoshelter.com/gallery/Transpac-Yacht-Race-KIHO/G00005arrMskgK5M/C0000kb5Q7j8Jk9o


他のギャラリーにも良い写真沢山あります!!


位置情報 2013/08/15

おはようございます。
現在、低気圧に伴う風により、ディラン150マイルほどのスピードで西進を続けています。
現時点の残航が約1300マイルですので、24日頃には八戸着かと思います。
明日、明後日と低気圧の中心部近くの微風帯を通るため、ここをどの程度のスピードで抜けられるかによって残日数が決まると思います。
万が一、スピードが速まった場合、23日遅くに到着の可能性もあります
Takeda



回航情報 8月14日

みなさ~ん
14日目、やっと今日で二週間です!!。

そして残り10日位で青森県某所に一旦寄港して大湊に向かう予定です。

一昨日の晩のペルセウス流星群について。
確かに普段の3から5倍多い流れ星の数。(普段でも5分に一回はシューって・・・
それが多い時で一分に一回)
いつもより明るくて長い。(普段でも一晩に数回は飛ぶ・・・)
連続してるのが数回。(それは普段は無い)
と言う事で日本にお住いのみなさんには申し訳有りませんが、毎日見てる流れ星が一
時ちょと多いかなって感じで・・・(^_^

一昨日から南寄りの良い風が吹き出して、メインを揚げてバッチリ帆走しております
(^^)v。

昨夜半からスコールやら強雨風やらで忙しくしております。
いきなりの土砂降り&30ノットの向かい風が数回、それが止むと再び強烈な日差
し!!。
昨日から風が横より少し前なので、ときより来るザバッ~って波のせいでハッチはほ
ぼ開けられず・・・。
外は特性オーニングのおかげで涼しいんですが、船内はサウナであります(~_~
ベンガルさん、窓が無い船内蒸し風呂なんじゃないかとお察しいたしますです。

水生(造水器)ですが、かなり順調なんですが吸水口がポートのギャレー下に有るの
でポートタックでは吸水口が上がってしまうので残念ながら機能しないって事の様
で・・・。明後日から予想されるスタボータックに期待します。

私事で恐縮ですが、東京マラソンって締め切ったでしょうか?。

良い風のおかげで軽油の貯金も増えてるし、四人ともこの狭い世界で絶好調に楽しく
すごさせて頂いてますです(^_^)/。

ima



2013年8月15日(木)10:02 | トラックバック(0) | コメント(0) | スポーツ | 管理


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